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バンザイすると直前の感情がいい気分に書き換わる?

みなさん,どうもsskです。早速ですが,今回は「腕の動きで感情を自由にコントロールすることができる」ことを示した研究を紹介します。

みなさん,うれしい時ってどうなります?例えば,ホームラン打ったとき,試験に合格したとき,仕事で大成功したとき,はたまた宝くじにあたったとき,などなど・・・。そんなときはバンザイとかガッツポーズなど手を上げるのではないでしょうか。逆に落ち込んだときどうなります?仕事でミスしたり,友人や家族とケンカしたり,失恋したり・・・。そんなときは下を向いたりするかと思います(ちなみに私は下の写真のような感じになります!)。

このように感情は体を通して表へ出てきます。実は感情は体の動きと結びついていることが分かっています。具体的には,上向きの動作や体の状態はポジティブな感情と,下向きの動作や体の状態はネガティブな感情と結びついています。その一例として,快い音を聞いていると体が上に動いて感じる錯覚が強くなることなどが過去の研究ですでに分かっています。この研究は感情が体の状態に影響を与えることを示しています。一方で,逆に体の動きや状態がわたしたちの感情に影響を与えることを示す研究もあります。例えば,上に物を置きながらだと快い記憶を思い出しやすくなるそうです。このような体の動きや状態が感情に与える影響については,これまでの研究では体を動かしている最中や体を動かした後の感情に影響を与えることが示されてきました。最新の研究では,さらに興味深い事実が発見されました。なんと,体の動きは体を動かす直前の感情にもさかのぼって影響するというのです

研究者たちは,心理実験を通して写真を見て生じた感情が,写真を見た直後の腕の運動によって左右されることを明らかにしました。実験は12名の右利きの方が参加しました。まず実験参加者はタッチパネルディスプレイ上に映し出された色々な感情を喚起する写真(例えば,ビーチの写真や事故写真など)を見ました。そして,写真が消えた直後に画面の真ん中に小さな黒い丸が表示されました。参加者は画面の表示にしたがって,その黒い丸をすぐに画面の上の方あるいは下の方に指でスワイプし移動させました。つまり上にスワイプする場合は腕を上げることに,下にスワイプする場合は腕を下げることになります。その後,先ほどの写真がどのくらい快く感じたか,あるいはどのくらい不快に感じたかを参加者は答えました。

実験の結果,写真を見た直後に上にスワイプした場合には写真をより快く,下にスワイプした場合には写真をより不快に感じることが判明しました。つまり,上下の腕の動きが直前に見た写真により生じた感情を時間をさかのぼって書き換えたということです。しかしながら,写真の観察と腕の運動の間を2秒間あけると,腕の運動の効果が消えてしまいました(このことは,新たに16名の右利きの方を対象に行なった実験で明らかになりました)。したがってこの現象は,ある出来事によって生じる感情がその出来事だけで決まるのではなく,後に起こる他の出来事も一緒にまとめることで後付け的に生まれていることを示しています。

「『今』生じている感情っていつ決まっているのでしょうか?」って聞かれたら,普通は「今」と答える方が多いかと思います。しかしながら,実はそうではなくて,感情はある一定の短い時間の間に起こる色々な出来事をまとめることで決まっているようです。とても不思議な話です。

ぜひみなさんも嫌なことやいいこと,なんでもいいので事あるごとにバンザイやガッツポーズをしてみてはいかがでしょうか? 直前に体験した出来事がより一層良いもの感じられるようになって,もっと幸せな気分で人生をおくれるかもしれません!

出典:Sasaki, K., Yamada, Y., & Miura, K. (2015). Post-determined emotion: motor action retrospectively modulates emotional valence of visual images. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 282: 20140690.

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