氾濫するメンクイズム
「人を見かけで判断してはならない」とは言うが,私たちは容姿を気にせずにはいられない。容姿の中でも,顔は特に重要だ。イケてるメンズ,イケメンという言葉があるように,顔がいい男性はもてる。顔がもたらす影響は異性にもてるだけではない,その人の社会的ステータスにさえも決定しうる。例えば,眼光鋭く権威のある印象の顔面の候補者の方が,大統領選挙において多くの人の支持を集めやすい。このような,きれいな顔立ちのものばかりが得をするメンクイズムが広がりつつある。
(以下の写真では,眉が濃く,目が大きいなどの男性的な特徴を持つ右側の人物の方が,より競争的だとみなされる)
(一方,柔らかい表情,丸みを帯びた眉などの女性的特徴を持つ右側の人物の方が,より信頼できるとみなされる)
しかしながら,必ずしも容姿ですべてが決まるのではない。どんなにイケメンでも,前科があり,良くない噂があったら,好意を抱く人はいないだろう。その人のことをどれだけ知っているかが重要である。
また,EXILEファンと嵐ファンとでは,好みの異性のタイプは異なるかもしれない。同様のことが,政治の世界においてもみられる。リベラルな思想の投票者は,オバマ大統領やヒラリー・クリントンのような黒人・女性候補者を支持する。保守思想の投票者は,伝統的なスタイルの政治家を支持する。
以上の研究を行った,アメリカCarnegie Mellon大学のChristopher Y. Olivola代表は,顔によるバイアスを取り除くための努力が必要であるという。人々を教育し,顔のステレオタイプにとらわれないようにすることが大切である。裁判員制度が導入され,市民に高度な司法判断が求められる現在,こうした努力が不可欠である。
出典:Olivola, C. Y., Funk, F., & Todorov, A. (2014). Social attributions from faces bias human choices. Trends in Cognitive Sciences, 18, 566–570.
※記事内の画像は下記のサイトより引用 (いずれも閲覧日は2015年11月30日)
1枚目および2枚目
3枚目
4枚目
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