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眠いと耳の感覚がマヒする?!

みなさん,こんにちは。突然ですが,誰にでも眠たいときってありますよね。眠い時,うとうとしますよね。意識が朦朧とします。感覚がにぶります。私は今回この,感覚に関するテーマでみなさんにひとつ紹介したいと思います。

まず,みなさんは「音源定位」という言葉を聞いたことがありますか。これは,左右の耳に達する音の音圧や位相,時間などの差によって音源の位置が定位されることをいいます。ちょっと難しく言いましたが,簡単に言うと,物が落ちた時にどのへんで落ちたのかサッと判断できるのは左右の耳の位置がちがうことによるものだということです。この「音源定位」が,眠い時には変わってしまいます。にぶくなるんです,感覚が。

では,眠い時,音源定位はどうなるのか。結論から言うと,眠りに落ちる前に,右側の感覚が消えてゆきます。人はどうやら,眠りに落ちる前,左側を無視しがちになるようです。半側空間無視といって脳の右の頭頂葉などが障害されると,視野の左半分が無視される。そして無視しているという感覚もなく,たとえば料理を食べても視野の左半分が手つかずに残ったりする。この現象が眠りに入るときにも起こっているというのです。

少しややこしかったでしょうか。次のようなデータも見られています。

図は元の論文 (Bareham et al., 2014, Sci. Rep.) より

上の図を見てみると,ほとんどの実験参加者が,起きているときにはそれほど左右に差はみられないが,眠い時(Drowsy bias)右側に偏りが大きくうまれていることがわかります。

眠くてうとうとしているときと,障害があるときとの感覚が同じようなものであるというのは,少し驚きですよね。この現象が半側空間無視の理解に役立つのではないかとまで言われているそうです。みなさんも今度眠気がおそってきたとき,耳の音の感覚をなんとなーく感じてみてください。不思議な感覚を味わうことになるかもしれませんよ。

出典:Bareham, C. A., Manly, T., Pustovaya, O. V., Scott, S. K., & Bekinschtein, T. A. (2014). Losing the left side of the world: Rightward shift in human spatial attention with sleep onset. Scientific Reports, 4:5092.


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