チンパンジーはゲームが上手い？
皆さん，ゲームは好きですか？ゲーム
今，パズドラ，モンストなど世の中には沢山のゲームが存在しています。
もしかしたら，それらのゲームの中にはチンパンジーの方が上手なゲームがあるかもしれません！？
そんなところで今回は，「チンパンジーにかくれんぼのコンピューターゲームをさせた」という研究を紹介したいと思います。
おおまかな方法
まず二匹のチンパンジーが互いの画面が見えないように座りゲームを行います。
※画像は元の論文 (Martin et al., 2014, Sci. Rep.) より
そのゲームとは，タッチパネル式となっている画面に左右二つの四角形が映っており，一方のチンパンジーが選んだあと，もう一方のチンパンジーが選ぶというものです。
※画像は元の論文 (Martin et al., 2014, Sci. Rep.) より
このゲームにはあらかじめ役割が分担されており，二匹とも左右同じ四角形を選んだときのみ勝ちになる側と，異なる四角形を選んだときのみ勝ちになる側の二つがあります。
勝った場合にのみご褒美としてリンゴの欠片をプレゼントします。
これを繰り返すことで統計を取っていきます。
そしてこのゲームと同様のものを日本の大学生とアフリカの民族にもやってもらいました。
結果
下図のグラフが今回の結果となっています。
※画像は元の論文 (Martin et al., 2014, Sci. Rep.) より
横軸が同じ箱を選んだとき勝ちになる役が右の四角形を選ぶ確率です。１だと全部右を選んだことになります。同様に縦軸は異なる四角形を選んだとき勝ちになる役の右を選ぶ確率です。
見て分かるように大学生(青)とアフリカ人(緑)はほぼ同じ場所に分布しています。しかし，チンパンジー(黄)は少し上のほう，NEと書いてある黒い点の周りに分布しています。
そして，このNEと書いてある点がナッシュ均衡と呼ばれるものです。
ナッシュ均衡とは
ナッシュ均衡とは，ゲーム理論における考え方の一つです。
例えば，皆でゲームをしていて，色々戦略を出していき、出し尽くして、もうこれ以上最適な戦略がないという状況になり，動きようがない状態のことをナッシュ均衡と呼びます。
結果の意味
グラフを見て分かるように，チンパンジーはナッシュ均衡の周りで分布しています。
ということは，チンパンジーの方が私たち人間よりも最適な戦略を取っているということになります！
なぜ？
研究によると，チンパンジーは優れた記憶能力とパターン認識能力，素早い視覚的判断を有していますが，何より大事なのは，野生のチンパンジーは子供のころから競争が激しく，優位を競い合う社会で育っているということです。なので最適な戦略も自然と出たのでしょうね！
逆に人間は話して協力するような協調的な社会で育っているので今回は苦手だったのかもしれません！
協調，協力を必要とするゲームではチンパンジーよりも得意でしょう！
このように，いつもは頭がいいと思っていても，動物だしとたかをくくっていたチンパンジーが実は私たち人間よりも優れている点がかなりあります！
リアル猿の惑星になってしまう日もあるかもしれません！？
出典：Martin, C. F., Bhui, R., Bossaerts, P., Matsuzawa, T., & Camerer, C. (2014). Chimpanzee choice rates in competitive games match equilibrium game theory predictions. Scientific Reports, 4: 5182.
